エステが終わるとお昼前で、いったんシュウの会社に戻る。
会社の前に着くと、なかなか中には入れず、少しすると電話が鳴った。
―着信 シュウ
「もしもし」
「もう会社に着く頃?」
「会社の前だよ」
「うん。分かった」
そのまま電話を切るとシュウはすぐに出てきて、私の方に来て言った。
「ご飯食べに行こ?」
「うん!」
歩いて十分くらいのところに小さな定食屋があって、私とシュウは中に入り席に座る。
店員に注文をすると、シュウが言った。
「倫子さんヒデキから電話があったんでしょ?番号教えて」
ヒデキの番号……?
「番号は分からない。非通知で掛かってきてたから」
「非通知……?」
「うん」
「非通知か……」
「なに?」
「今日親父に聞いたんだ。お袋は俺以外に子供を産んだ記憶があるかって」
「……うん」
「そしたら、ないって言ってた。でも、親父も実際はどうか分からないって」
シュウのお母さんは転々としてたみたいだし、シュウのお父さんには分からないよね……。
「じゃあ、シュウのお母さんに聞いてみたら?」
「いや、いいよ。何処にいるか分からないし、会いたくない」



