シュウとの時間は楽しくて、あっという間に流れる。



「倫子さん、そろそろ行く?」



時計の針は午後3時を指している。



「…うん」


「じゃあ、送るよ」



そう言って二人は無口になり、マンションから出てタクシーに乗る。


私は隣に居るシュウの手をギュッと握り締めた。


このまま時間が止まればいいのに……。


そんな思いは叶う訳もなく、タクシーは駅に着き、切符売り場へと向かう。



「今度はいつ会えるかな…?」


「土日はなるべく空けるようにするよ」


「本当?!」


「うん。向こうに帰ったら、就職活動頑張ってね」



そうだ、明日から就職活動しなきゃ…。

シュウのその一言で、現実に連れ戻される。



「はーい。就職決まったらお祝いしてね」


「うん」



切符を買い、改札に向かうと凄く寂しくなった。


何を喋っていいか分からなくて、黙ったまま時間だけが過ぎる。



「倫子さん、そろそろ時間」


「うん」



私はシュウにキスして、思い切り抱きついて言った。



「浮気しないでね」



そして離れると、シュウは笑って頭をポンポンって叩く。