そうだ……。
私、高級レストランで食事するときのマナーさえ知らない。
そういうところ迄考えてなかった。
でもシュウは弱気になる私とは反対に、父親に言った。
「マスコミからは僕が守ります。それから倫子さんなら大丈夫です。人一倍一生懸命な人ですから」
「……」
『人一倍一生懸命な人ですから』
シュウがそんな風に思ってくれてるなんて……。
「うん、私頑張るから。絶対弱音なんて吐かないし、後悔もしないから」
父親は私とシュウの顔をジッと見て口を開いた。
「高山くんの親御さんはなんて言ってる?」
「まだ話していません」
えっ?
まだ話してなかったんだ……。
「……。まぁ、うちに挨拶に来るくらいだから、本気だとは思うけど、うちだけが認めて高山くんの親御さんが反対したら、倫子が傷つくだけだ。その辺をちゃんとしてから、もう一度来なさい」
「はい」
父親は小さくうなずくと、又テレビの方に体を向ける。
「シュウ、私の部屋に行こう?」
私がそう言うとシュウはうなずき、父親に言う。
「失礼します」
父親はテレビを見たまま大きくうなずいた。



