「お父さん!」


「……ああ」



父親はそう言って、浮かない顔をしながら、私とシュウの方に体ごと向ける。


シュウは父親に向かい礼をすると、父親が言った。



「とりあえず座りなさい」



私とシュウが座ると、三人の間に重苦しい緊張感が漂う。


こんなときは私から喋った方がいいよね?


そう思ったとき、シュウが言った。



「今日はお忙しい中、時間を作って頂きありがとうございます」


「……」


「今日は倫子さんとのことを認めてもらいに来ました」


「ああ、倫子から聞いてる」



父親とシュウの会話に入る隙もなく、私はドキドキしながら聞く。



「高山くんだったね?」


「はい」


「……君と倫子は住む世界が違う。そう思わないか?」


「はい。でも僕と倫子さんが一緒になることには関係ありません」



シュウの真っ直ぐな目にドキンとした。


でも父親は鼻で笑うように言ったんだ。



「関係ない……?君と倫子が一緒になることで、倫子の生活は大きく変わる。マスコミに追われるかもしれない。大会社の後取りの嫁にいく礼儀もマナーもゼロだ。君も倫子も疲れて上手く行かなくなるのは、目に見えてる分かるじゃないか」