いったいなにを話してるの……?
でもシュウは言った。
「倫子さんが直接聞いてないなら言わない」
「……うん、分かった」
シュウはいつもそう。
シュウが話してくれないと、私は千里と話せないから、不安しか残らないのに……。
それでも、シュウと一緒に住めるようになったら、安心できるのかなぁ?
バスは家から一番近い停留所に着き、私とシュウはバスを降りて家に向かう。
ソッと繋いだ手も、シュウとの距離を感じて、お父さんを説得するという本題も、私の頭の中から消えそうなくらいユラユラしていた。
「倫子さん?」
「えっ?」
「着いたけど大丈夫?」
「あっ、うん」
私は少し重くなった気持ちをシュウに悟られないように、玄関を開ける。
「ただいまー」
こんなときくらい余計なことを考えないで、しっかりしなきゃ。
「お帰り。シュウくんもいらっしゃい」
そう言って出迎えてくれたのは、やっぱり母親だけで、私とシュウは父親がいる部屋に向かう。
「お邪魔します」
「どうぞ」
父親のいる部屋に入ると、父親は私とシュウには見向きもしないで、テレビを見ていた。



