―日曜日
「じゃあ、シュウを迎えに行くね」
家を出ようとしたとき父親が言った。
「スーツじゃなくてもいいからな」
「……?」
「スーツじゃ歩けないだろうから、何処かで着替えて来るんだろ?うちはそんな立派な家じゃない。私服でそのまま来させなさい」
「うん!」
少し嬉しい。
お父さん、シュウのことを少しだけ受け入れてくれてる?
駅に着きシュウの姿を見付けると、私は急いでシュウの傍に行き、さっき父親に言われたことを話した。
「じゃあ、このまま行くよ」
「うん!」
「なんか嬉しそうだね」
「だって、来ても認めないって言ってたのに、私服で来いって言ったんだよ?少しは前に進めたかな?」
「そうだね」
シュウも少し嬉しそうで、私はソッとシュウの手を握った。
そしてバスに乗り、家に向かう。
すごく幸せを感じた瞬間、千里のことが頭をよぎる。
「そういえば、あれから千里からは連絡ある?」
「うん。なんか相談に乗ってる」
「……どういう相談?」
「倫子さんはなにも聞いてないの?」
「うん」
千里のあの日の言葉は、相談したい訳じゃなくて、シュウが欲しいんだ。



