「……?家にいるよ」
「私今東京にいるんだ。行っていいかな?」
「東京にいるの?ひとりで?」
「ううん。秀司も一緒だよ」
「ふーん。今マスコミが張ってるから、出れないけど来れる?」
「うん。じゃあ行くね」
「うん」
電話を切ると、秀司と目を合わせふたりでうなずき、タクシー乗り場に向かう。
「リカコさんはどうするの?」
「とりあえず、俺も高山のところに行くよ。電話しても出ないだろうし…。本当のことを高山の口から直接聞きたい」
「……うん」
タクシーに乗り、行き先を告げる。
シュウのマンションに着くまで、秀司も私も無口で、ラジオの音だけが響いてた。
マンションに着くと、シュウが言ってた通り、マスコミが張っている。
私はオートロックの番号を押し、秀司と中に入った。
「いいとこ住んでんな」
「……」
シュウの部屋の前に着き、インターホンを鳴らすと、シュウが部屋を開け、私と秀司は中に入る。
秀司は玄関に置かれた靴を確認すると、ホッとした顔をして上がった。
「なにか飲む?」
「私は……いいや」
「……俺もいらない」
沈黙になり、1番最初に口を開いたのは秀司だった。



