「ううん。私もシュウに会う日までモヤモヤするの、嫌だったから」
「そっか」
そう言って秀司は窓の外を眺め、少しすると又ゆっくりと話し始める。
「俺さ……リカコに振られたけどさ、やっぱりアイツじゃないとダメなんだ。お前は高山以外の男、好きになれる……?」
私は迷うことなく答える。
「なれ……ない」
私にはシュウしかいない。
きっと秀司がリカコさんを想う気持ちも、同じなんだと思った。
どうしようもなく好きで、シュウがいないと息ができないくらい苦しい……。
「もしさ……。もし俺達がガッカリして帰ることになったら、俺達結婚しない?」
「えっ?」
「俺はリカコ。お前は高山を好きなのを公認でさ。そしたら親も煩くないし、好きなだけ好きでいられるじゃん」
「なに言ってんの?バカ」
私はそう言って笑って、秀司も笑う。
そんなの馬鹿げてる。
もしシュウと二度と会えなくなったら……って少し思ったけど。
でも、そんなんじゃダメだよ……。
私と秀司を乗せた新幹線は少しずつ東京に近付き、近付けば近付く程、私と秀司の間は重い緊張感でいっぱいになった。
そして東京に着いた。



