会社に休むことを連絡すると、私はシュウからもらった指輪をギュッと握りしめ、右手の薬指にソッと嵌めた。
そして秀司から預かっていた指輪を鞄の中に入れる。
なんでだか分からない。
けど、秀司の指輪を持って行かないといけない気がした。
秀司の指輪が連れて行ってって言ってるような気がした。
少しすると秀司が車で迎えにきて、私は車に乗り込む。
「車で行くの?」
「駅までな」
秀司は目が血走っていて、私はそれ以上話すのをやめた。
車はグングンとスピードをあげ、あっという間に駅に着く。
「走るぞ?」
「うん」
秀司は私の手を取りふたりで走ると、切符を買い改札を抜ける。
そして少し前に着いた東京行きの新幹線に、急いで乗り込んだ。
席を見付け座ろうとした時、秀司が手を離すと、手は汗で湿っている。
秀司は席に座り、血走った目で息を切らし、息が落ち着いてきたころ、やっと冷静になったみたいで、少し笑って言う。
「なぁ、これでもし本当にあのふたりができてて、俺達ふたりでションボリ帰ることになったら、カッコ悪くない?」
「そうかもしれない」
「やっぱ俺ひとりで行った方がよかったかもな……」



