私はなにも言えなくなって、黙ってワインを飲み続ける。
でも、水を飲んでるみたいに、ちっとも酔えない……。
少ししてシュウはお風呂から出てくると、私に言った。
「話しはしてないの?先に風呂入れば?」
「……まだいい」
シュウと千里をふたりにしたくない。
「じゃあ、千里さん、よかったらお風呂に入りなよ」
「私、入って来たから……。倫子、私は大分落ち着いたから、お風呂に入っていいよ。私に気を使わないで?」
気なんか使ってないわよ。
シュウと千里をふたりきりにしたくないだけ!
「だって。俺が代わりに話し聞いとくから、入ってきたら?」
「……うん」
私は仕方なく着替えを持って、お風呂に向かう。
ふたりがなにを話すのか……。
千里がシュウになにを言うのか気になって仕方がない。
お風呂場に入ると、すぐにお風呂には入らないで、ドアに耳を付けてなにを話しているか聞いてみる。
「もう大分落ち着いたみたいだね」
「うん。倫子にいろいろ話しを聞いてもらったから。でも……なんで男の人って嘘つくんだろ……」
そう言ってすすり泣く声が聞こえる。
あー、イライラする。
お風呂に入ろう。



