まぁ、いいか。

千里が落ち着くなら……。



「酔っ払って帰ってたときに連れて帰ったみたい。朝起きたら、シュウがいたの」


「ふーん。それがたまたま大会社の社長の息子だった訳だ?ついてたわね」



えっ?

なんなの、これ……。



「私は別に……そんなことどうでもいいよ。それより、彼氏と喧嘩したんじゃないの?」



ムッとして言う私に、千里は言った。



「嘘よ。喧嘩なんてしてない。始めからこの時間に帰る予定だったもん」


「……」


「ぶち壊しに来たの。倫子が私よりいい男捕まえるなんて許せないから」



「……なんで?」


「だって私より全部下じゃない。そんな女が私よりいい男捕まえるなんて、生意気なのよ」



千里はそう言って、一気にワインを飲み干し、グラスを置いた。



「帰ってよ」


「残念。もう新幹線の時間がないわ。それに私を無理矢理帰したら、高山くん、どう思うと思う?彼氏と喧嘩して弱ってる女を追い出すなんて、酷い女だって思うわよ?」


「……じゃあ、シュウに全部話すから」


「そんなことしても無駄よ?私が可哀想な女の演技すればいいだけだもん」


「……」


「だから、今日は泊まるわよ」