「千里が近くにいるから寄っていい?って」
「いいんじゃない」
私はすぐに千里に言う。
「うん、大丈夫だよ」
「ありがとう。すぐ行くね」
電話を切ると、酔いが一気に冷めて少し憂鬱になる。
シュウはお風呂に入らないで、食卓に座って言った。
「どうしたの?」
「なんか、彼氏と喧嘩したんだって」
「ふーん」
電話を切って五分もしない内に、インターホンが鳴り、オートロックを解除すると、千里が部屋にやってきた。
「なんかごめんね」
「ううん。お酒飲む?」
「じゃあ少しだけ……」
千里はションボリしていて、私がグラスに入れたワインを一口飲む。
「なんで喧嘩になったの……?」
「……」
なにも言わない千里に、なんて声をかけたらいいのか分からない。
「ごめん。俺、先に風呂入る」
「うん」
シュウがお風呂に行き、取り残された私と千里は、会話もしないでお酒を飲む。
どうしたらいいのよ……?
少ししたとき、千里が口を開いた。
「倫子と高山くんって、どうやって知り合ったの?」
なんで今、私とシュウの話……?
なんかよく分からないよ。



