着替えるところ?
「うちの近所の公園のトイレくらいしか思い当たらないけど……」
「じゃあ、そこでいいや」
「余り綺麗じゃないよ?」
「いいよ」
「なんで着替えるの?」
「ちゃんと認めてもらうには、スーツじゃないとダメだよ。流石にスーツに帽子は被れないから」
「そっか。ねぇ緊張してる?」
「してない」
シュウの顔を見るとうれしくて、不安が少し消え、更に緊張が高まって、必死に喋ってた。
シュウはムカつくくらい落ち着いた顔をしている。
「シュウ、この公園だよ」
「うん。ちょっと待ってて」
「うん。私ベンチに座ってるね」
「うん」
ドキドキする。
私とシュウの第一歩はどんな日になるんだろう?
やっぱり、お父さんはダメの一点張りなのかな……。
ううん、もしかしたらシュウのこと、気に入ったりして。
ひとりでいろいろ考えながら、十五分くらい経ったとき、スーツ姿のシュウがトイレから出てきた。
私は小走りでシュウの方に向かう。
「シュウ、ネクタイ曲がってる」
「ごめん、ちょっと直して」
「うん!」
なんか新婚さんみたいですごくうれしい。



