今でもで覚えている、あの時の事

輝のあんな姿、頭にこびりついてずっと、

『見んな!!バカ!』

私の目を輝の大きな手がおおった、

『輝……泣いてるの?……』

そんな輝の手の隙間から輝の泣いてる姿が見えた

『うるっせぇー!』
男の子の泣いてる姿なんか見たことなかった、だから…

『でも…輝?……』

『うるっせぇーって言ってんだろ?黙ってろ!!頼むから……』

私は黙ってることしか出来なかった

『ゴメンな?ごめん、守れなくて、ごめん、悪かった……』

ただ聞いてることしかできなかった、

『すまなかった…でも、お前だけでも生きててくれて本当に良かった、本当に……よかっ……た、……』

そう言って、輝は私のことを強く抱きしめてくれた、

何故こんな事になったのか、今からずいぶん逆上る、

まずは私達の日常から、お話しましょう


☆    ☆   ☆   ☆


「結美ちゃん 料理ほんと上手よね?おばさんにも教えてー?」

おばさんがキッチンで私にだだをこねながら言う

「母さんには無理だろう」

リビングから私の同級生の輝(コウ)
が言う、
 
「おー、珍しく意見が合うな、輝!」

そして、同じくリビングにいた輝お兄さんの優さん

「輝!優!親に対してなんてこと言うの?あなた達には何も作ってあげないんだから」

おばさんはすねて頬をふくらませながら言った

「大丈夫ですよ〜おばさん!私が教えますよー!すぐ出来ますって!」

「あらー結美ちゃん優しいのね?」

「いえいえ!私で良ければいつでも」

「教えても無駄だと思うけどな」

また輝が余計なことを…

「ちょっと輝!そんないいかなしなくしなくても……」