『ねぇ、お姉ちゃん♪ 遊ぼ？』

今日もまた、明るい 幼い子供のの声が校内に響く。

「……君は、どこに… 居るの？」
その女子生徒に問い掛けた。

『ん～、ひみつ♪』
からかう様な、明るい声。

「名前は？」
その女子生徒は、メモ帳とシャーペンを鞄から取り出した。

『少女A、かな？ おばさんに言われた。』
笑い声を含んだ、少女の声。

「君は、生きてるの？」
女子生徒は慎重に聞いた。

『ん～ん。 死んじゃったんだ。この前。』
そんな事を言う声すら、明るい。女子生徒はメモ帳に手早く何かを書き込んだ。

「じゃあ、何でこの学校に居るの？」
女子生徒はメモ帳から顔を上げて言った。



『……神サマが、人間の体を集めたら、生き還らせてくれるって、言ったから…。』
急に悲しそうな声になり、すすり泣く声まで聞こえてきた。
女子生徒は肩を落とし、同情する顔で言った。

「……そっか、大変だね…。」
しかし、返ってきた声は、さっきとはうって代わり、

『でも、お姉ちゃん達が遊んでくれるから、嬉しいよ♪』
明るい、最初と同じ様な声。ニコニコと笑う 保育園児の顔が目に浮かぶ。

「……へぇ…。…………ねぇ、何で遊ぶの？」
女子生徒がこわごわ聞いてみると、

『隠れんぼ！ もう始まってるからね！！』
「…へ？」
束の間、女子生徒はメモ帳もシャーペンも落とし、叫ぼうとした。しかし…

「！！ ……！ ぁ、あぁああぁ！！」
短く廊下に行き渡るのは、くぐもった声。

女子生徒は、何者かに口を塞がれたのだ。

『ゴメンね、今日は先生が遅くまで仕事してるから叫んでもらっちゃ迷惑なんだ♪

……………ねぇ、お姉ちゃんの左脚、ちょーだい？』



今の暗い学校で聞こえる音は、業務用パソコンのキーボードを打つ音たけだった。


『ふふふ♪ お姉ちゃんの左脚、も～らった♪』
少女の楽しそうな声は今日も響く。