「ミサキ……。ハルが。ハルが…!!」

次の日の朝、ユウナが血相を変えて私に寄ってきた。明らかにただ事じゃない。

「ユウナ…? ハルがどうかしたの?」
「ハル、家に帰って、出掛けてから行方不明って…。」
「えっ……?」
その瞬間、私は時が止まった様に思えた。

「ウソ………。」
「ウソじゃない。本当。」
「そんな……!!」
昨日交わした言葉がバックフラッシュする。
あの後、ハルは家に帰って……、
それからどこに行ったかわからない?
……そんな…。 あの時誘ってれば良かったのかな…?
でも、分かれてからじゃ意味ない、かな?

「泣かないでよ…。ミサキ……。」
「へっ……?」
……『泣かないで』?
まさか、私、泣いてる…?

慌てて右手の袖を目に当てる。紺色の制服が涙で濡れた。

「大丈夫、ちょっと目が痛くなってさ…。」
「んな訳ないでしょ? ワケわかんないジョーク飛ばさないでよ。」
「っ…!! ごめん…。」
「ミサキが気負う事はないから。ね?」
「うん…。」

その日も、みんな静かだった。