トモミは、その日から何故か人気者になった。

「あ~、そうそう。前にこの学年にも居たんだー。トモミって子。」
「そ、その子は……? 会ってみたいです。」
ミサキみたいな、綺麗な声でしゃべるトモミさん。いつの間にか、ミサキの居た場所まで奪っていた。
ミサキは、いつも女子の中心にいて、周りのみんなを笑顔にさせていた。





随分 昔に思える1年前の事件。

「……………ケイスケ君、お願い。」
「……………なんだよ。」
「放課後、付き合って。」
「……………はぁ?」
秋の夕日が照らす教室に、俺の間抜けた声。

「お願い! 家に着くまででいいの。ね?」
ますます訳がわからない。

「実は… 殺人予告が、私宛に来て………。」
…どうやら、ただ事ではないらしい。

「予告日が今日なの。だから………。」
確かにただ事ではないが、俺が付いていく義理もない。

「………わりぃが、他をあたってくれねぇかな? 家も真逆の方にあるし………。」
我ながら酷い事 言うな…。

「………そっか、そうだよね。ごめんね。無理言って………。」
「別にいいよ。じゃあな。」
俺は鞄を持ち直して、教室のドアを開けた。

「…学校出るまでは一緒に行くか。」
せめてもの償い。………に、なるだろうか。

「うんん。大丈夫。他の子と帰るから…。」
ドアの方を向いてたから、どんな表情だったかは知らない。ただ、なんか悲しそうだった。


その後、トモミは殺された。帰り道、後ろから殺られたらしい。

けど、遺体が見つかったのは学校。犯人が運んだんだろう。




「ケイスケ君。」
不意に話しかけられる。我に返り、顔をあげると、そこには、ミサキそっくりのトモミがいた。

あぁ、バレてねぇかな。俺が_ _したの。