「……………やっぱり来たんだね。ミサキも。」
「…そりゃあね。気になって仕方なかったから。」

時刻は午後九時。場所は二人が通っている学校の校門。

「……………行こっか。」
「…あったり前でしょ?」
お互いに目で相手を注意仕合ながら、二人は校舎へと歩を進めてた。



「手、繋いどいてよね。」
「放せる訳ないじゃん。それより、怖くて動けないとか、止めてよ?」
「当たり前でしょ。」
二人の一問一答が繰り返される。
ユウナが、ミサキに三度目の問を言おうとしたその時。

『お姉ちゃん、遊ぼ?』
例のあの声が聞こえてくる。明るくで、幼い声が。

「…ミサキ、今………。」
「うん。空耳じゃないみたいだね。」
二人は顔を見合わせて頷いた。

『お姉ちゃんたち、仲良しなんだね。』
どこからともなく聞こえる声。

「………他のみんなは、どこ?」
『ん~、ヒ・ミ・ツ♪』
「生きてるの?」
『教えてあげな~い。』
ミサキは臆せず、その明るい声に問いかける。

『それよりさ~、遊ぼーよー。』
「何するの? 」
『ん~、かくれんぼ! 私がおにをするから、お姉ちゃんたちは隠れて♪』
ユウナは、黙ってばかりで何も言わない。

「………ユウナ。あの子に捕まらない様に、みんなを探さなきゃ。」
「え、え~っ! 無理~。」
「やるしかないの!!」
ミサキは、黒い瞳でユウナの茶色い瞳を捉えて離さなかった。ミサキの黒い瞳は、全てを悟り、全てを背負ったかの様な瞳だった。そんな瞳を見たユウナは、無言でうなずく。
そして、一歩ずつ、歩いて行く。