さぁ…と風が吹いて桜が舞う。

桜の季節、春。

今日中学1年生になった私、深森翠(ふかもりみどり)は桜の並木道を歩いていた。

「翠~!」

ブンブンと大きく手を振る私の友達。

「早く!クラス発表されてるよ!!」


私たちが通う私立以詰面学園は超有名な進学校で、政治家の息子や財閥のお嬢様などが通っている。
各言う私も一応お嬢様。

でも日本のじゃない。

「翠~!早く~!」

私は…。

「やった!みんな一緒のクラスだよ!」

「ホントだ!!」

「あの人も一緒じゃん!良かったね、翠!」

「…うん。良かった!」

魔界の住人なんだ。


クラス替えはごく普通に終わった。

かっこいい男子とぶつかって恋心が芽生える…とか、そんなのは一切なし!

話を聞いて帰る、ただそれだけ。

でも私はそれでもいいの。私には…好きな人がいるから。

「みど…、深森!帰るの?」

彼が私の好きな人。藤川玲斗。幼馴染なの。

彼も魔界の住人なんだ。

普段は、私のことを翠って呼ぶのに学校では深森と呼ぶ。

やっぱり恥ずかしかったりするのかな…。

「うん。玲斗ももう帰るでしょ?」

「あぁ。一緒に帰ろうぜ。」

私は同じ魔界の住人特権で一緒に帰れるの。

私の学校の近くにある家に行って、ワープして魔界へ帰るんだ。

ファンタジーな感じで信じられないでしょ?(笑)

魔界なんてさ、信じらんないよね?

わかる、わかるよ。

当たり前だよね。

…残念、これが現実です。