「あ、そっか!えっとね。なんか、空姫様を呼ぶには『とおりゃんせ』って歌あるじゃない?あの歌の空姫様バージョンを歌えば良いらしいんだって! 」
「え。そんな簡単なことでいいの?」
「うん、多分。」
驚いた。
そんな簡単なことで良いなら、早くやってしまおう。
「空姫様バージョンってどんなものなんですか?」
「これも普通なんだけど、天神様っていうところあるじゃない?あそこを空姫様に変えるだけなんだって」
同級生や後輩にまでも敬語を使ってしゃべる横田はホントいいやつだと思う。
物腰も柔らかで、横田を好きな人が多いのもわかる気がする。
「ふーん。じゃあやっちまおうぜ」
今まで、口を開かなかった那流が口を開いたかと思うといきなり歌いだした。
「えっと、確かこんなのだったよな。とーりゃんせ とーりゃんせ。こーこはどーこの細道じゃ。天神様の細道じゃー。御用のない方…」
「違う違う!空姫様に変えるって言ってるじゃん!」
