「あーあ。これっていつ帰れるわけ?私、この後、用事あるんだけど。」
勝手についてきたくせに、疲れたーと雛は駄々をこねる。
「私、最初の部屋に戻るから。また何かあったら呼びに来てー。部屋は卓哉の隣だったから、卓哉に聞いたらわかるから。」
じゃあね、ひらひらと手を振って雛はと部屋から出ていった。
「マイペースな奴…。」
ボソッと那流が呟く。
小さな声だったのか、横田と綿野にも聞こえていたのか二人とも申し訳なさそうに謝って来る。
「ごめん。俺が断っておけば…。」
「ごめんな…。でも、いいとこあるんだよ、アイツも。」
折角謝ってくれてるというのに私は返事もせずに違うことを考える。
――綿野が惚気た!?
あの何事にも無関心で雛の振る舞いにも何も言わないくせに!
