「村井?いや、俺たちも知んないんだよ。まだ寝てんじゃね?」
「う、うん。そうだよね。」
那流の言葉に少し安堵するも不安がなくなったわけではなかった。
その時、今まで何も言わなかった女の人が口を開いた。
「これで全員となります。あなた方の言っていた村井奈々さんは、特定の条件を満たしていなかったため、ここに来ることはできませんでした。」
「な、何それ!?じゃあ、奈菜はここにはいないってこと!?」
「…そういうことになります。」
――そんな…。ここに一番来たがってたのは奈菜なのに…。横田と…両想いになりたがってたのに…。…。受験はもういいや。私が奈菜の代わりに願いをかなえる!
「ねぇ、空姫様ってどこ?早く、願いを叶えてよ。」
「空姫様には今はお会いできません。また、願いを叶えて欲しいのならば試練に乗り越えてもらいます。」
――…ッ!
納得したくはなかったが、納得するしかなかった。
――そりゃそうだよね。何の見返りもなく願いを叶えてくれるわけがない。
