入学式の前に自分のクラスを確認してその場所に向かい、決められた席に着席する。

窓際のまんなかあたり

自分のなかでベストなポジションだったから、幸先いいなと思いながら腰をかける。
窓から満開の桜をみつめながら音楽を聴く。無意識に鼻唄がこぼれる。


「‥‥ え ‥‥‥ それ 」

隣の席の男の子が反応を示すが、そのことに小夏は気付かない。




そのまま出席番号順に並んで入学式がはじまった。みんなソワソワしている。そして何処かふわふわして未来に胸を踊らせているように感じる。

そのような状況でも囚われたように音楽が頭のなかをこだまする。


前に並んだ女の子が振り返ると小声で
「わたしミナ。これからよろしくね」
「わたし小夏。こちらこそよろしく」

ミナはパーマをかけたショートの栗色の毛を揺らしながらふわっと笑った。小夏はその笑顔から仲良くなれそうだなと直感的に感じた。


帰り道の方向が真逆で校門をでるとミナと別れてしまう。話足りない二人は近くのカフェに入った。

ミナは話を真剣に聞いてくれて欲しい言葉をくれる。出逢って初日なのにすぐにミナの良さをみつけた。

「小夏はたくさんたくさん考えてるね。でもあんまり考えすぎると辛くなっちゃうよ。いつでも聞くからね。ひとりにならないで。」

優しい言葉に涙がでた。



これがミナとの出会い