だが…

「や、ふ、普通だけど」


相手の男はキスできそうなほど近い位置で
身体を触ってくる結菜を、明らかに意識しているようだった。


チッと舌打ちをする。


頭より先に体が動いた。


そらそーだよな。



好きな女がこんなことしてきたら…



「…え?諒ちゃん…?」



男なら誰だって…



「…結菜、ごめん…」



キスしたくなるよな。



「触んな」



2人の間に割って入るように結菜の口を手でふさいだ。


「…!」


はっとして男は結菜から離れる。


俺はそいつを睨みつけると



「結菜、行くぞ」

「は、ちょっと…!」


結菜の手をつかんで歩き出した。