予想していた事態は起こらず、そんな音とともにあたしの前に作られた資料が1冊現れた。


「はい」


ぽけっとしたまま受け取る。



「ホッチキスだよ、なぞなぞの答え」



え…ホッチキス…?

絶対離れないキスって…



まさかあたし、騙されて…!



「なんか想像した?」



玄野くんがにやにやと見てくる。


「べ、べ、べつに~?!」


声が裏返っちゃったけど気にしない。



もう、こいつむかつく…!



あたしはまだ笑ってる玄野くんを無視し、

乱暴にホッチキスをとめた。


   ☆   ☆   


「終わったぁ~!」


やっと資料を作り終えたときはもう5時近かった。



「帰ろっか?」



そう言って立ち上がり、荷物をまとめだすあたしに

「やだ」

玄野くんがひとこと言った。