☆side 龍☆


「ちょっといい?」



スウェーデンリレーが始まる前、俺は長瀬に声をかけられた。


いやな予感しかしないが、とりあえずクラステントから離れた木の下に移動する。


長瀬ってほんとがっしりしてるな…


結菜はこういうのがタイプだもんな…。



ぼんやりとそんなことを考えていると、



「どうして結菜から逃げようとすんの?」



思いもよらなかった言葉をかけられた。


ドクンと心臓が鳴る。



「お前のことは興味ない。でも俺は、結菜を傷つけるやつだけは許せない」



長瀬の瞳は、思わずそらしたくなってしまうほどまっすぐだった。



「……俺じゃだめなんだよ。長瀬じゃなきゃ」


ぽつりとかすれたような声をだした俺に、長瀬が呆れたように鼻で笑った。



「何言ってんの?けんか売ってんの?」


「だって結菜はお前のこと…」



言い終わらないうちに長瀬が、重い溜息をついた。