春さんは黙ったまま私を見つめていた。 「春さん?」 「僕は、春(しゅん)さんじゃない。春(はる)なんだよ。ごめんね、嘘ついて」 いつも、テレビでみる美しく強い春さんではなくて、優しい春さんだった。 「今日は夜遅いし、また明日いつものカフェで会おう」 「はい。」 私も何も言えないまま、瑠花と帰った。