「助手席って彼女の指定席じゃないですか。私なんかが座ってよかったのかなって…」 「……」 そう言ってしばらくの沈黙。 いけないことでも言ったかな、と不安になったその時。 「俺、彼女いないから」 彼の、静かなそんな声が車内に響いた。 「え…?」 驚いて、思わず彼を思いっきり見てしまった。 そんな私と彼の視線がぶつかる。 気が付けば車は近くの公園で停車していた。