「まだ案内するとこあるんですか?」 この空気は、なんだかまずい気がして話を仕事から逸らさないようにした。 でもそんなのには限界があって。 「…桜」 久しぶりに彼に名前を呼ばれて、私はぎこちなくとぼけ通すことしかできない。 「主任、私の下の名前覚えててくれたんですね。でも主任からは、一之瀬って呼ばれた方がしっくりきます」 「…元気、だったか?」 「何言ってるんですか。私が体調悪いように見えますか?」