あぁ、どうしよう。
ドキドキが止まらないよ……っ!



「ワン!」



私はココを抱きかかえた。



「ココ、これって……恋なのかなぁ」


「ワン!ワン!」



これが……“好き”っていう、気持ちなんだ……。
まさかこんな一瞬で人を好きになるなんて、想像もしていなかった。


私……桜田くんが好きだ。



……そうだ!



私はベッドに置きっぱなしにしていたレシピ本を手にして階段を下りた。
それからエプロンをつけると、キッチンに立った。



「あら、愛維ってば急にどうしたの?」



お母さんがビックリした様子でキッチンに入ってくる。



「バレンタインのお菓子作るの」


「あらあら、青春ねぇ……」



渡すのは月曜日になっちゃうけど、渡そう。
今日のお礼もちゃんと言いたい。