桜田くんはココのリードを片手で持ちながら、私をおんぶして家まで送ってくれた。
「桜田くん、どうしてあんなところにいたの?」
「あー、一人で野球ボール投げてた。中学のとき野球部ピッチャーだったんだけど、久々にボール触りたくなって。で、ボールを遠くに飛ばしちゃって探してたらココちゃんが見つけて拾ってくれたってワケ」
「そうだったんだ……スポーツできるなんてすごいなぁ、尊敬しちゃう」
私なんて中学のときは文化部で、今は帰宅部だから運動不足だ。
「いやいや、そんなすごくないよ。人並みにできるってぐらいかな」
「すごいよ!私なんかさっきココ追いかけて10秒ほどでココ見失っちゃったし……」
「あはは、なんか崎本さんらしいね」
「ど、どういう意味!?」
もしかして桜田くん、私のこと少しバカにしてる!?
「まぁまぁ、別に悪い意味じゃないから。女の子はドジなぐらいが可愛いよ」
そ、それって遠回しに私をドジって言ってるよね。
まぁ確かにさっきもなにもないところでコケたし、ドジなんだけど……ね。
「なんか崎本さんとまともに話すの初めてな気がする」
「たしかに!学校ではほとんど話したことないよね」
「崎本さんと話してみたいって思ってたから嬉しい」
「ほんと!?嬉しい!」
桜田くんは背が高くて存在感があるけど、温厚でとても優しそうな……というか、優しい男の子だ。
女の子と話すところはそんなに見たことない。
モテそうなのになぁ。



