私は一瞬リードから手を離してしまい、その隙にココは走っていってしまった。



「ココ!」



慌てて追いかけるけど、犬の足の速さには勝てるはずがない。
ココはもう見えないほど遠くまでいってしまい、私は立ち尽くした。



「ココ待って……っ」



ど、どうしよう……?
ココがこのまま行方不明になっちゃったら……。


でも、もしかしたら立ち止まって私を待ってくれているかもしれない。


私はそう信じて、また走り出した。



「はぁ……っ、こ、ココ……っ」


「ワン!」


「ココ……?」



ココの鳴き声が聞こえて、キョロキョロあたりを見渡すと、河川敷にココと誰か男の子がいた。


私は慌ててココのもとに向かう。


……が。



「きゃっ!」



派手にころんでしまった。



「い、痛……っ」



膝には大きな擦り傷が出来ていて、血がにじんでいた。