「ミオちゃん~……」


教室に入り、ミオちゃんに泣きそうになりながら抱き付く。


「その様子じゃ、ちゃんと自分の気持ち言えなかったんだね」


「うん……」


「でもいいんじゃない?そんなに焦らなくても、少しずつでいいと思う」


そうだ、少しずつでいいんだ。
私は私のペースで少しずつ、前に進んでいこう。



キーンコーン―――



昼休みが終わり、午後の授業も全て終わった。



「愛維、帰るよー」


「うん、今いく!」



いつものようにミオちゃんと教室を出ようとすると、誰かに肩を叩かれた。
振り向くと、そこには……。



「さ、桜田くん!」



ふわっと微笑む桜田くんがいた。



「あ、愛維、私急いでるから先に帰るね!」



ミオちゃんは気をきかせたのか、そう言って帰っていった。



「あのさ、マフィンすごく美味しかった。本当にありがとね」


「う、ううん!もう早速食べてくれたんだ!うれしい!」



まさかそんなにすぐ食べてくれるとは思ってもいなくて、ビックリした。



「すごく美味しそうだったから食べちゃった。それと1つ聞きたいことがあるんだけど」


「へ……?」



聞きたい、こと?