「え……?」


「す、少し遅いけど、土曜日のお礼とバレンタインのチョコのつもり、なんだけど……」


「お、俺に!?」



桜田くんはすごく驚いた様子で少し頬を赤らめる。
そんな桜田くんに私はコクンと頷く。



「その、土曜日は本当にありがとう!そ、それとね、私……」


「ん?」


「さ、桜田くんのことが……っ」


頑張れ私!
言っちゃえ!


「す、好きで……」


「柊矢ーっ!」


「あっ」



好きだって私が口にしたのと同時に、誰かが遠くから桜田くんを呼んだ。
その声で私の声はかき消されてしまった。


「ちょっと待って!あとでそっち行くからー!!!」


桜田くんは大声で友達に言った。



「ごめん、さっきなんて言ったかもう一回言ってもらっていい?」


「あ……ぅ、な、なにもないよ!き、気にしないで!」


「……?ならいいんだけど」


「じゃ、じゃあ、私はこれで!!!」



私は一人で勝手に恥ずかしくなって、その場から逃げるように教室に戻った。