灯火―akari―

テクテクテクテク

「屋上でも行こう」

ガチ…

話し声が聞こえる。



「待った。誰か来てる。」



バレた。




逃げよ。


ガチャ

「誰もいねえっ…。いたぁぁぁぁーっ!」

ビクッ

「な、なに?」

ガシッ

「は、離せ!」

「話を聞くから離さない!」

「離せ!」

「名前は?」

「そっちから名乗るもんでしょ?」

「俺は敢樹 響稀 aeki hibiki」

「お前は?」

「あ、阿籐千夏。」

「へぇ。詳しく話を聞こうか?」

「は?無理。」

「拒否権ないから」

「は?」

グイグイ

「引っ張んな!自分で歩けるっつーの。
だから離せ!」

バンッ

「ホイ!この子。」

「誰?」

な、何だこの…男集団
イケメンだけど王子オーラとかじゃなくて凄いど、どす黒いオーラが見える…。




「さっき。扉を開けかけた子。」

「よくここに来れたな。」

「だね〜。俺らの溜まり場なのになぁ。」

「知らねぇんじゃなねぇの?」

「知らねぇだろうな」




「なんの話してんの?」


「名前…。名前教えてよ!」

まただ。自分から名乗れっツーの。

「聞くより前に自分から名乗るのが普通なんじゃない?」

「しょーがないなぁ。全員教えてあげるよ!


俺等のリーダー敢樹響稀!

副リーダーの美韻紫夏 mine siina

盛り上げ役の冬響桜斗 touki haruto

俺は久栖蓮弥 kusumi renya

最後。相当の女嫌いの真邊柊弥 manabe touya

君の名前は?」





「阿籐千夏。」

「千夏ちゃんかぁ。千夏って呼ぶね!」

「お好きにどうぞ。」


別にさ呼び名だけでさOK貰う必要とかいる?


「じゃ、帰るわ。」

「待て!千夏!」

この声…。誰?


「お前さ…。千夏はさ…どこから来たんだ?」

「さぁ。どこだろうね?住所など何もないところ。」


そう。私のいた世界は住所などなかった。
ただ一つ違うのは…。












ここに住んでいる人全体は天使か悪魔か神…。



私は神である藍羅さんの操り人形だ。
殺せといえば殺す。
殺すなと言われたら殺さない。
自殺しろと言ったら自殺する。


「おい!千夏!」


「な、なに。」



「お前体調悪いのか?」


「は?全然悪くないけど」

「いやー。ずっとしんどそうな顔してるから。」


そんな顔してたんだ。


「ほら!千夏の顔!」

なに勝手に撮ってんだよ。
バレないようにケータイ壊してやる。





「あっ!?あれ!?ケータイ壊れた!」

「はっ?何言ってんだ蓮弥」

「ホントだって!壊れたんだって!」

「貸してみろ。」

カチカチカチカチッ

「なおったぞ」

「良かったぁ!ありがと!響稀!
えーっとフォルダわぁぁぁぁぁぁぁあ!!」

「「「「次は何だよ!」」」」

「フォルダがーっ!全部消えたーっ!」


ふふっ。いい気味…。
今回はこれくらいで許してあげよ。

「おい!千夏今なんで笑った!!」

「さぁね。面白いことがあったからよ。
じゃあまた今度…」