「いや、嘘でしょう?」
「えりちゃん。ばいばい。」
抱きしめられていた体は
いとも簡単に離され
さっきまで暖かかった杉山くんの熱も
感じなくなった。
ガチャ・・・
あの日いきなり始まった
あたし達の秘密な関係は
いとも簡単に崩れていった。
頬に感じる・・・
「やっと杉山くんから離れられたのに
嬉しいはずなのに
なんで涙が出てくるの?」
・・・そうか。
あたしは杉山くんが居なくなるのがいやなんだ。
あたしは放課後を楽しみにしてたんだ。
・・・あたしは杉山くんが好きなんだ。
やっと好きだと自覚したときにはもう
杉山くんは転校する事が決まっていて
もう彼氏、彼女でもなくて
秘密の関係でもなくて
ただの教え子とその先生。
そんな関係に戻っていた。

