「西崎ぃー!」

「いってらー。」

私はオフィスを出て西崎を探しに行く。
西崎とは6つ下の後輩だ。
29歳の私を先輩とは全く思ってないらしく、やたら絡んでくるヤツ。

あいつ、何してくれてんのよ!
おかげで皆んなが配ってるところに乗り遅れたじゃないの!
もう!あいつにはあげないんだから!

怒りながら廊下を歩いていると自販機の前のベンチに座る西崎を見つけた。


「あ、矢代さん。」

「西崎!それ返せ!」

私は西崎が手に持っている袋を掴んだ。
が、ヤツはそれを離そうとしない。
そして、そのままクルッと背を向けた。

はぁ。なんなんだよー。

「もう、なんなの!どうしてこんなことするの!皆んなに配れないじゃない!
返してくれないとあげないよ!」