とはいえ一日中ずっと気まずいのは嫌だし
今日は夜会の日だ
仕事に支障が出るのは避けなければならない
だから今日はなるべく普段通りに接している
「ねぇ…変?」
俺は固まった
少し恥ずかしそうに試着室から出てきた彼女には
まさに“美しい”という言葉がぴったりとあてはまる
白い肌に漆黒のドレスと髪
ぴったりとしたスリットの入ったドレスは彼女の身体のラインと美脚を引き立たせ
所々に施されている細やかな刺繍は彼女の素材の良さを最大限に引き出す
「りゅ…リュカ…!」
俺は無意識に彼女を抱きしめていた
細い腕に細い腰
こんなにも華奢で少し力を入れれば折れてしまいそうなのに
いざという時には人を殺める力を持っている
「リュカ…離して…」
「…悪い、変じゃない、似合ってる」
…何やってるんだ俺は
少し頭を冷やそう
そう思って店から出た

