彼は何事も無かったかのようにいつも通りに接してくれた


それにしてもどこに行こうとしているのだろう


いつもそうだ


彼は行き先を言ってはくれない


ふと彼が立ち止まった


ショーウィンドウにはきらびやかなドレスが飾ってある



「リク王のパーティーで着るドレスを借りる、ここでいいか?」


そこはドレスの専門店だった


「本当はもっと大きなところに行きたいんだがな、仕事上それは無理だ」


確かにここは人目にもつきにくいし


建物も小さい


しかし、ひとつひとつ丁寧に繊細に作られていて


ただ大きい宝石ばかりが目立つ貴族のドレスとは一風変わって美しかった


しかし、繊細な分値段も張る


生憎私はそれを借りるほどのお金を持っていなかった



「…リュカ、私お金ない」


「そうか、じゃあ入ろう」



私の言葉は無視して店の中に入っていった


「…綺麗…」


中には量は少ないが色とりどりのドレスがあり、


どれも素晴らしい出来だ


「この中から好きなのを選べ」


好きなの…か…いいんだろうか…?


とりあえず選ぶなら今の私は黒の目と髪に合わせなくてはならない