「リゼリア!」


彼が追いついて私の手首を掴む


「リゼリア、何があったんだ?」




「…離して!リュカに何を話すっていうの?


私を利用しているだけの人に…


そんな人にする話しなんてない!」


こんなのただの八つ当たりだ…


お願いだからほっといて…


これ以上自分を嫌いにさせないで…


不意に視界が暗くなり、リュカの匂いがした


一瞬パニックになるが、彼に抱きしめられていることに気がついた



「…ごめん」


「なん…で…」


なんでリュカが謝るの…?


リュカは悪くない


ただ私が…


「ごめん…」


彼はもう一度そう言って私を強く抱きしめた


なんで…?


なんでそんなに悲しそうな声をするの…?



…いや、きっとこれも私を上手く利用するための演出だ


分かってる…それも、分かってるけど


今だけ…今だけは…


そう思って私は彼の胸で静かに泣いた