あたしと瑞希は、朝と同じように追っかけさんたちをかき分けていく。
でも…
「んぐっ…やっ…ちょっと少しく‥らい…どいてよっ…」
朝同様に満員電車状態…
___ぐいっ
えっ?
朝同様、腕を引っ張られたかと思ったら追っかけさんたちの間を抜けて、
王子の目の前にいた。
…また助けてもらっちゃった
「っほら、雛はやくはやく」
瑞希に言われて、お礼を言わなきゃいけないことを思い出した。
「あああ、あの、今朝は助けてくれてありがとうございました!
…あ、あと今も!」
「え、っと〜、腕を引っ張って助けたのはあいつ…ってあれ?恭は?」
王子…翔くんが見た方を見るけど、誰もいない。
「恭いっちまったか〜。まぁとにかく、藤田雛さんだっけ?」
「あ、はい!」
「今朝のは弟の恭だから!手、差し出したのは、俺だけどね~
あっ、それと1年間よろしくね、雛ちゃん!」
そういって朝と同じように差し出された手。
朝は握ることはなかったけど、今は一応握っといた。
「うんっ、よろしくね翔くん!」
