《高鳴り》

今日はアラームが鳴る前に起きた
眠い目を擦りながら重い体を起こして
顔を洗い支度をする
ふぁ〜眠たい
自選があるので早めに学校に行く

洗面所の鏡にうつる私の目は腫れている
あ〜ぁ、もっと不細工になっちゃった
顔も可愛くなければスタイルにも
自身はない。何もかもが普通
普通より下かもしれない
朝からため息を漏らし学校へと
自転車を漕ぐ
風が髪を揺らす感覚が好き
スピードを上げ学校へと踏み出す

教室ではまだ授業をしていたから
廊下で待つことにした
するとA棟に繋ぐ連絡口から
佐賀野先生が歩いてきた

『おっこんにちは』

『こんにちは!名前覚えてくれました?』

『んーと、井上?笑』

『誰それ。笑違うよー』

『わっかんねーよ笑』

『忘れっぽい?』

『おう!』

いやいや、そんな自信満々におう!
っておかしいでしょ笑
呆れながら笑うと

『もうさ、これと一緒の佐賀野で
いいじゃん笑』

え…あたしはフリーズした
ハッとした時には先生の姿はもうなかった
それと同時ににやけていたあたし
期待しちゃうフレーズだけど
そんな期待も倍になって後悔になる
だからあたしはやっぱりチャラいなと
思った。この時あたしは先生が
気になる存在に変わった
日に日に大きくなる気持ち
高校生3年生の夏休み
あたしはこの気持ちに嘘がつけなくなった抑えられなくもなっていた
好きだと認めた夏
暑い懐かしい匂いがする夏休み