しばらくの沈黙。意味がわからない。


気まずさから、睦月がアイコンタクトを送ってきた。


仕方なく、初めましてと、僕は睦月の妹に挨拶する。


彼女は、前髪を掻き分けてから、すねたような表情を僕に見せた。ほんの一瞬だけのしぐさに僕の体に電撃が走った。狂おしい左胸の高鳴りが自分でもわかる。何だろう?


「妹の初音(はつね)です」


「あ、えーと、久遠海です」


また沈黙。睦月が慌てて喋り出した。


「妹に、このあいだの飲み会の写真見せたら、海の事が気に入っちゃったらしくて、連れてけーって言われてさ...。相談て言うのも建て前で、悪く思うなよ海!」


陽気な睦月と裏腹に僕と初音さんは固まっていた。