『誰も欲しくない』

私は、失恋した……。

せっかくのバレンタインデーなのに、この日は生憎の雨で、私は彼氏の『トウマ』と並んで下校していた。
いつも別々になる交差点で、私はスクール鞄から綺麗にラッピングされた赤色の包みをとりだす。昨夜、レシピを片手に作ったチョコレートだ…。

「トウマ!バレンタインデーのチョコ…自信ないけど…もらって……?///」

ああ。恥ずかしい。誰かにみられたらどうしよう……。

そんな羞恥から、私は思わず顔を俯かせて、作ったチョコが手の上から無くなるのをジッと待った。
ところが、それはいつまでも私の手の上から無くなることはなく、いつまでも存在している。
恐る恐る顔をあげると、目の前には、悲しそうな顔をしたトウマが、そのチョコをジッと見つめている…。
ううん。チョコじゃない。
私だ……。

「…どうしたの…?」

「…俺達さ、別れよう…?」


ザァァァァァァ……。

強くなっていないはずなのに、雨の音が大きくなった感覚に襲われる。

え?
今、なんて…?

戸惑う私に、トウマは突き出されているチョコをグイッと私の胸の前まで押し付けると、苦しそうな顔で告げる…。

「……悪いな。正直……限界なんだ。だから、それも受け取れねぇ。じゃあな。」

そう言って、トウマはダッと走り出した。私は、呆然とトウマの背中を見送るしかできない…。見えなくなったところで、私は手の中にあるチョコをボトッと手放す……。
傘も、ゆっくりと傾いて地面へ……。
冷たい雨が私の制服…髪の毛…全てを濡らす……。

それとともに、瞳から熱いものが流れる……。

それで、実感する。

ーーフられちゃった……ーー

いつかはくると思ってはいた。でも、それがこんな形なんて…。目の前が歪んで、やがて何も見えなくなる…。脳裏に浮かんだのは、告白してから、今までのトウマとの思い出……。
辛い。
苦しい。
悲しい…。
涙が………止まらない……。



それから、数カ月後…。

私は、とある後輩の男子に告白された…。失恋した私を慰めてくれた友達は、『新しい恋をする良い機会』と言ってくれた。
でも……でもね、私はその子の告白を断った。好きになってくれたのに、申し訳ないと思っている。
それでもやっぱり私が好きなのは、トウマ…。終わった恋なのに、未練がましく私はまだ想いを寄せている……。

こんなに人を好きになるなんて……。自分でもビックリするくらい……今は、あの人以外……誰も欲しくない……。

ーendー


↓↓↓のタイムラインに乗せた奴やってみた。文字数自信ない。(笑)満足か、コノヤロー(`・ω・´)