「僕の歌なんかより、春華のギターのが聞きたい。ねぇ、ちょっと弾いてみてよ?」


私は始めて裕くんが楽器屋さんに行きたいって言った意味が分かった。


初めから裕くんは気付いていたのかもしれない。


私が音楽の世界の住人だってこと。



「じゃ、一曲だけね?しかも、アンプ、今日持ってないから、音、ズレたらごめん。」


まぁ、五年もギターやってれば、そんなこと殆どないんだけど。


私はお店の弦の張ってあるギターを一本拝借して、音を軽く調整して、ミスチルの1番最近練習した曲を弾き始めた。