「クレープ」



「え?」


「裕くんが行ってたデートの話。クレープ食べ行きたい。」


「そんなのでいいの?」

僕はてっきり、水族館とか、どこかのネズミがマスコットキャラクターの遊園地とかに連れてって欲しいとかせがまれるかと思っていた。


だから、すこし驚いた。

「そんなのじゃないよ。憧れてたの、制服で学校帰りに彼氏とクレープ。」


僕は本当に末期だ。

こんな些細なお願いをするのに、耳を紅く染める彼女が堪らなく、愛しい。