兄貴とLINEするのは1カ月ぶりだ。

通知は2件。
『帰り、』

『遅くなる』


僕は『了解』と返した。


どうせ、大学のサークルとかだろう。

あー、早く大学生になりてーな…


ガンガンガンッ!


ノックとは程遠い音でドアを叩かれた。

僕はいきなりの音にビクッと肩をすくめる。
危うく、スマホを落としそうだった。


「裕ー!シフトの時間始まっちゃうよ?男の癖にいつまでダラダラ着替えてんのよ⁈」


あー、こいつもっと優しい言い方はないのかよ。

わーってるよ。

僕はそう、呟いてケータイをバックに押し込んだ。

兄貴がこの時、誰と会ってるかも知らずに。