誰を?
本当は親父のことじゃない。
母親が死んでも何も感じない、感じられない自身が。
母さん……
僕は……
俺は……っ。
思い出すのはリビングに帰ってくる度に花を生けていた姿だけ。
家族、みんなで動物園に行くとか。
手作りのから揚げとか。
そんなの、覚えてない。
多分、そんな記憶最初からない。
何を話したかさえ、曖昧で。
「……部屋に行きなさい。」
随分、ゆっくりした口調で親父が告げた。
本当は親父のことじゃない。
母親が死んでも何も感じない、感じられない自身が。
母さん……
僕は……
俺は……っ。
思い出すのはリビングに帰ってくる度に花を生けていた姿だけ。
家族、みんなで動物園に行くとか。
手作りのから揚げとか。
そんなの、覚えてない。
多分、そんな記憶最初からない。
何を話したかさえ、曖昧で。
「……部屋に行きなさい。」
随分、ゆっくりした口調で親父が告げた。

