帰ってきたとき、サムターンは回したはず。




つまり、この家で僕と兄貴以外に鍵を持っている人物はふたり。




ーー親父か、母さんか。




「おお……起きてたか。」



時刻は10時少し前。


起きてるよ、そりゃね?


というか、タイミングというものを考えて欲しい。


「おかえり、父さん。」



兄貴の声によって僕の金縛りが解けた。

でも、うまく、声が出ない。


いつもは部屋に直行の親父がガタン、とリビングの椅子に座った。



「いや、いい。ーーー話がある。」


ゴクリと喉がかる。