僕の中で兄貴の存在は大きい。



もしかしたら親より大きい。




そんな兄貴のことを傷つけたらぶっ飛ばす。



そんなくらいに考えていた。




まさか僕が傷つける方になるなんて。





「……ふっ。」




兄貴の口元が緩んだ。



「裕のクセに、ちょっとはマシな面になってんじゃん?」




「…なんだよ、それ。」



よかった。
会話をしてくれる気はあるようだ。


すっと兄貴が口を開きかけたそのときだった。




ガチャ……ギィ


玄関の開く音がした。